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2022.11.29

デニム再生プロジェクト (5)織布

MD本部バイヤー / 橋 祐介

引き続き、
デニム再生プロジェクトのレポートをお届けします。
第5弾となる今回は「織布」です。

前回、坂本デニム様にて染め上げられた糸は
同じ広島県福山市の
篠原テキスタイル様で生地になります。
篠原テキスタイル様は、今年で創業115年を迎えた
デニムを中心に高品質な生地を手掛ける老舗。
染色後そのまま、プロデューサーの本澤氏と現地に向かいました。


工場に隣接する広大なスペースは
某大手キャンプメーカーが
イベントをされるほど見晴らしも抜群。
空気も澄んだ、気持ちの良い場所に
工場を構えていらっしゃいます。
さて、工場では篠原テキスタイル株式会社
代表取締役社長 篠原由起様をはじめ
従業員の皆様にご案内いただきました。

それでは織布の工程へ。
いよいよ、再生した糸が
デニム生地に生まれ変わります。
工程は、
  ①「綜絖(そうこう)」
  ②「製織」
  ③「生地検査」
の3つ。順番に確認していきます。


① 「綜絖」
まずは、坂本デニム様で
ロープ染色を行った糸の束(ビーム)の確認後、
L∞PLUS DENIMとして設計の規格通りに
約4000本もの糸をタテ糸の配列、
入り本数を1本の間違いもないように、
手作業でドロッパー、ワイヤー、筬(おさ)に
通していきます。これが「綜絖」です。

続いては、②「製織」
使用する織機は
企画によって最適なモノを選ぶとのこと。
篠原テキスタイル様では「エアージェット織機」
「レピア織機*1」「シャトル織機*2」をお持ちですが
今回の再生デニムでは「エアージェット織機」を採用。
空気の力でヨコ糸を飛ばす
高速での運転が可能な最新型*3の織機です。

セットしたタテ糸に
ものすごいスピードでヨコ糸が織られます。
織る速度は、なんとシャトル織機の約3倍!
多くの職人さんの手作業で生まれる再生デニムですが
ここでは最新鋭の技術を活用し、
低コストと効率化の実現を目指しています。
実際の速度は、是非こちらの動画でご体感ください。

このように織り上がった生地は
最後の工程③生地検査 に移ります。
反物を検査することから「検反」と呼びます。
篠原テキスタイル様で織り上がった生地は
すべて人の目で確認しながら検査し、
汚れがないか?不純物が混じってないか?などの
欠点をチェックしていきます。

ぼくも少し体験させてもらいましたが
すごい速さで生地が流れてくるので
素人の目では全くついて行けず、
スピードを相当落としてもらわないと
汚れには気付けませんでした。。。
もちろん職人さんは、顔色ひとつ変えず
ハイスピードで作業されています。
この道数十年の熟練の技に、感服しました。

このような工程を経て、生地が一旦仕上がりました。
糸が生地に織り上げられていく様子は
これまでにも何度か見たことがあり
その度に学びを深めてきたのですが、今回は格別です。
高島屋の店頭でお客様に託していただいた
デニムパンツが、この生地に含まれていると考えると
非常に感慨深いです。
回収キャンペーンから早8カ月。
再生工程も終盤戦に入り、改めて襟を正しました。

ただし、まだデニムパンツを作るには
最後に大事な「加工」という工程があります。
「加工」には、福山を一旦離れ
岡山デニムで世界的に有名な岡山県倉敷市の児島地区へ。

続きはまた次回レポートいたします!



*1 レピア織機:バンドでヨコ糸を引っ張りながら運ぶ織機。固い糸や伸度の無い糸の製織が可能。
*2 シャトル織機:シャトル(杼)でヨコ糸を飛ばす旧式織機。耳付きの生地が製織可能。
*3 2022年11月現在

BUYER HASHIS  PROFILE

橋 祐介 / バイヤー

橋 祐介 / バイヤー

古着屋でのアルバイトに没頭した学生生活の後、特選(ラグジュアリーゾーン)のバイヤーと兼務で、本プロジェクト担当。名画座と純喫茶が好き。

岡田 ひかり / 化粧品バイヤー

岡田 ひかり / 化粧品バイヤー

化粧品の自主編集売場を担当。もんじゃ焼きが好き。趣味はクラシックバレエ。人生もバレエもバランスが大切。