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2021.07.20

トークセッションレポート

MD本部バイヤー / 橋 祐介

6月5日(土)、「デパート デ ループ」の特別企画として、閉店後の新宿店でトークセッションを行いました。当日は素敵なゲスト、日本環境設計株式会社取締役会長 岩元美智彦氏、モデル 長谷川ミラ氏をお迎えし、「未来のファッション産業」について、熱く、楽しい思いをお話いただきました。 こちらで少しではありますが、紹介させてください。


正しいを楽しく

橋:未来のファッション産業を考える上では、「サステナブル」というキーワードは必要不可欠ですが、何をしたらいいのか分からない、といった声も聞きます。実際どう暮らしに取り入れたらよいでしょうか?

岩元氏:個人的に分別などは当たり前に実施していますが、日本環境設計では「正しいを楽しいに」というキーワードを掲げています。楽しいことに参加することで、結果的に地球環境がキレイになっていたらいいかなと思っています。

ミラ氏:同感です。まず、分別は今日からすぐできること。ペットボトルもキャップだけではなく、下のリングまで外さないとダメとか。身近な方のSNSから情報を取るのも良いと思います。日本環境設計が運営しているBRINGのInstagramをフォローするとか。
あと、スニーカーや下着など、毎日のファッションでも取り入れています。ただ、サステナブル素材ではなかったとしても、お気に入りの一着を長く使うことが一番。リペアも大事ですね。

岩元氏:日本環境設計の工場では、穴があいたり、汚れたりしているものが大好物。たくさんご愛用いただいて、最後の最後に回収ボックスまでお持ちいただければと考えています。


履歴価値に可能性を

橋:衣料品回収のお話が出ました。高島屋でも期間限定で回収ボックスを設置しました。日本で回収が浸透している感覚はありますか?また、リサイクルに別の付加価値を与える可能性はありますか?

岩元氏:現在国内約2,000カ所以上で洋服の回収を行っています。そして今、「履歴価値」という新たな価値を考えています。その服がいつ何回リサイクルされた服か分かる、地球環境を軸にした価値。ミラちゃん一緒に作らない?それを高島屋さんで展開とか?

橋:ぜひ!今、ファション業界は暗い話が多いですが、こんな価値が出てきたら未来は明るくなりそうです!

ミラ氏:やりましょう! すごく面白い話!でも、これって国がやることじゃないんだ!と思いました。

岩元氏:技術開発、スピード感含め、まずはベンチャーがやっていくべき。認知されていけば、法整備などで国との協力は必要になる。まずは私たちが、「走る」「頑張る」ということです (笑) 。

ミラ氏:なるほど。私はロンドン生活がきっかけでサステナブルに関心を持ちました。驚いたのは、街に洋服のゴミ箱があること。古着文化の根強いイギリスと簡単に比較できませんが、日本も服のリサイクルがもっと身近になるのではないか?そんな希望を持っています。

岩元氏:そんな未来は近いと思いますよ。あとは、実際に再生素材の服を体感してほしいですよね。素材の魅力、機能性も含め、「長く着られますよ」「愛着を持てますよ」という言葉が、店頭で増えていけばと思っています。


「BRINGを着ていると、すごくいい女になった気分です(笑)」

橋:ミラさんのオリジナルブランド「JAMESIE」でも、日本環境設計の自社ブランドである「BRING」とのコラボレーションをされたと伺いました。お客様の反応はいかがでしたか?

ミラ氏:「着やすい」「シワにならない」「夏にぴったり」「着心地最高」など、純粋にTシャツとしてすごく良いという声が多かったです。働いたお金をこういうものに投資できていることに、「すごくいい女になった気分です!」といった声も聞きました(笑)。

岩元氏:お客様が着たいTシャツは綿100%、でもポリエステルが持っている機能性がほしい。私たちのTシャツの肌触りはまるで綿100%ですが、実は100%ポリエステルなので速乾で部屋干しにも良い。見た目も機能も良いのはアピールしたいところですね。


「学びの感覚を大切にしてほしい」

橋:これから日本環境設計さんとのお取り組みを進めていく上で、お客様に一番近い立場である、デパート、高島屋に期待することはありますか?

岩元氏:一つは、循環型社会に繋がる商品を増やしてほしい。もう一つは、社員向けの環境教育を今以上に強化するというのはどうでしょうか。そうすると環境に対するデパートや高島屋の意識がお客様にもっと伝わって、循環型社会はスピーディーに普及していくと思います。

ミラ氏: SDGsに関しては本来、教育段階で学ぶべきだと思いますが、それが十分に出来ていないのでは?と思います。だから、大人が学ぶ機会を作ることが必要。会社の教育プログラムに組み込まれていけば、学びのチャンスが広がるのではないでしょうか? こういったイベントも積極的に行ってほしい!

岩元氏:まだスタートを切ったばかりですからね。これから、ギューッといきますよー! (笑)

橋:もちろん、この取り組みはトレンドでも一過性でもありません。ギューっと(笑)スピードを出して取り組んでいくことも大事ですが、一方でできることからやっていく必要もありますね。高島屋としても、意志を持って取り組んでいきたいと思います。


当日は、まだまだお話も尽きませんでしたが、長くなりそうなので、この辺りで。
環境問題に最前線で向き合うお二人のお話には、学びしかありませんでした。
いただきましたアドバイスや未来に向けたアイデアを、少しずつ形にしていきたいと思います。

BUYER HASHIS  PROFILE

橋 祐介 / バイヤー

橋 祐介 / バイヤー

古着屋でのアルバイトに没頭した学生生活の後、特選(ラグジュアリーゾーン)のバイヤーと兼務で、本プロジェクト担当。名画座と純喫茶が好き。

岡田 ひかり / 化粧品バイヤー

岡田 ひかり / 化粧品バイヤー

化粧品の自主編集売場を担当。もんじゃ焼きが好き。趣味はクラシックバレエ。人生もバレエもバランスが大切。