百貨店には、さまざまなデザインがあふれています。「デザイン百貨店」と称したこの回のテーマでは、インテリアデザイナー近藤康夫(1950―)の仕事を通して、1980~2000年代にかけてのデザイン、とりわけ商業施設におけるブティックデザインと、そこに設置された什器デザイン等に目を向けました。展示会場には、倉俣史朗の名作椅子≪ミス・ブランチ≫(1988)を登場させるとともに、倉俣、近藤が設計したデザインとそのディテールを、多くの写真で展示構成しました。またセミナーは、ピクトグラムからテキスタイルまで、幅広い視点で、百貨店を彩る室内空間デザインをテーマに開催しました。
世界で初めて公の場でスポーツピクトグラムを用いた1964年の東京オリンピック。あれから56年の歳月を経て、再び開催される東京2020オリンピック・パラリンピックのスポーツピクトグラムの開発に携わった廣村正彰氏が、ピクトグラムのデザインについて語ります。誰もが理解できて親しみやすい、単純でシンプルなカタチの裏にある、膨大な歴史が見えてきました。
第4回企画展監修・デザインを務めた近藤康夫氏の元で、インテリアデザインの実務を学んだ酒匂克之氏。1960年代のインテリアデザイン黎明期から活躍した倉俣史朗氏の作品、その愛弟子・近藤康夫氏の1980年代の初期作品を通して、インテリアデザインとは何か、その本質を問います。
上段左[転載:NASA Image and Video Library]/上段右[転載:JAXA デジタルアーカイブス]/下段右[『SD 1986年5月号』鹿島出版会]
学生時代に図書館で出会った1枚の写真。そこから一気にテキスタイルの世界に引き込まれていった鈴木マサル氏は、日本とフィンランドにおけるデザインの比較などを通じて、色や柄が人の気持ちや暮らし、空間に与える影響を強く実感します。これまで自身がテキスタイルと真剣に向き合い取り組んできたプロジェクトを辿りながら、私たちが暮らしのなかでテキスタイルとより良い関係を築いてゆくためのヒントを教えてくれました。
上段左[写真:鈴木マサル]/上段中・下段左[写真:Chikako Harada]/下段右[写真:Akihide Mishima]
日本を代表するインテリアデザイナーであり、本企画展の監修・デザインを務めた近藤康夫氏。独立直後の1980年代から、多くの商業施設で新しいブティックデザインを生み出し、注目を集めました。師事した倉俣史朗とは異なるその「論理的」手法とは何か、40年以上、デザインについて同氏と対話を重ねてきた編集者の川床優氏が迫ります。
上段[写真:ナカサアンドパートナーズ]/下段左[提供:近藤康夫デザイン事務所]